【エモンズシリーズ第1弾】エモンズに潜ろう

投稿者:青木 優子

©Benthos Divers|Taku Ohara  Dive Site|USS EMMONS Okinawa

USSエモンズ

ご存じの方も多いかと思います。USSエモンズ(USS Emmons,DD-457/DMS-22)は沖縄の古宇利島の北に眠るアメリカ海軍の駆逐艦です。
水深40mほどに沈み、全長100mを超えるこの艦は、多くのダイバーを魅了しています。
USSエモンズは、1945年4月6日に沖縄戦に参加していた折、航行中に日本の特攻機の突撃により爆発、大破しました。4月7日、機密漏洩を防ぐためアメリカ海軍の僚艦によって古宇利島沖で沈められました。この戦闘によってエモンズの乗員60名や日本軍の特攻機の乗組員が亡くなっています。
ダイバーが伝え残すべき戦跡の一つです。


Pacific War Wrecks|Masato Aoki  Dive Site|USS EMMONS Okinawa

USSエモンズに潜るなら!

エモンズは水深が深く潮の速い場所に沈んでいるため、NDLが短く、エアの消費量も多くなります。
グループのリーダーとスムーズに意思疎通が取れることや慌てず適切にトラブルの予防・対処ができるようになってから潜りに行くことをおすすめします。
スポーツダイビング、テクニカルダイビング、どちらでも潜ることができるスポットですが、潜り方には違いがあります。

スポーツダイビングとテクニカルダイビングでの潜り方の違い

SDI ディープダイバー(スポーツダイビング)


エモンズは最も深いところで深度が45mでレクリエーションの深度を超えており、いわゆる一般的なアドバンスダイバーが潜れるのは30mまでなので、エモンズを全て見て回ることは難しいです。
この沈船を楽しむためには、深度40mを安全に潜ることができるように、SDIディープダイバーを取得しましょう。
安全性の高いダイビングを行ったり、未経験の領域に入るためには、その環境でもしものトラブルが発生した場合に対応できるようトレーニングしておくことが、賢いダイバーが選択する最善の方法です。

SDIディープダイバーの認定を受けることで身につけられる能力
レクリエーショナルダイバーの基本ルールであるノンストップリミット(減圧停止不要潜水)について、深度40mまでのダイビングではどのように計画すればよいのか、加えてディープダイビングを行う際の必要な器材装備についても理解することができます。器材の不足や取扱いに慣れていないことは緊急の際に大きなリスクになるので、もしものトラブルが起きたときの対処法を改めて学ぶことが重要です。
30mを超えるディープダイビングでは、窒素ガスの濃度が高くなることで、ナルコシス(窒素酔い)の影響が大きくなります。このようなガス中毒のリスクを減らすためには、呼吸や浮力コントロールが安定していることが重要です。SDIディープダイバーコースでは、安定したスキルを身につけて、ナルコシスのリスクを減らすことができるようになります。
必要なトレーニングがプログラムされているSDIディープダイバーコースで安心できるスキルを身につけて、エモンズでのディープダイビングを満喫しましょう。

TDI 減圧手順ダイバー(テクニカルダイビング)

レクリエーショナルダイビングでは、深度は40mそしてノンストップリミットの範囲の中でダイビングを行います。その範囲で満足ができずさらにエモンズを満喫したいダイバーは、テクニカルダイビングを始める絶好のタイミングです。
テクニカルダイビングのトレーニングでは求められるレベルは高くなりますが、テクニカルダイバーとして認定された後は、より安全に深い深度で長くゆったりとダイビングができるようになります。テクニカルダイビングを学ぶ事により、リスクの高い環境下で安全に潜るためのノウハウやスキルを身に付けることができます。
TDI減圧手順ダイバーになると、最大45mまでがダイビング可能範囲となり、また計画的な減圧停止を伴うダイビングが可能となるため、エモンズを水底からじっくりゆっくり眺めることもできます。実はテクニカルダイビングは優雅で贅沢なダイビングが可能になるのです。

さあ、テクニカルを始めよう!エモンズ編


※CCR、ケーブ、レックペネトレーション(沈船内部探索)にはそれぞれのライセンスが必要です。

  • イントロテックコース
  • ナイトロックスコース
  • ADナイトロックスコース
  • 減圧手順コース

イントロテックダイバーコース
・内容
様々なテクニカルコースの入門です。テクニカルダイビングの基礎となる考え方やダイブプランニングを学び、水中スキルを発展させていきます。高度な中性浮力や適切なトリム、ガスマネジメントについて知ることは、テクニカルだけではなくスポーツダイビングでも役に立ちます。

・できるようになること
イントロテックコースを修了することで、ダイビング内容がトレーニング内容と同様であり、活動地域と環境条件がトレーニング環境と同様であればテクニカル器材を使用したダイビングが可能になります。

・トレーニング時の器材、装備
基本的にはバックマウントダブルの装備で学びますが、スポーツダイビングの装備で受講することもできます。

ナイトロックスダイバーコース
・内容
ディープダイビングを目指す最初のコースです。TDIのナイトロックスコースは物理的、生理学的にも深く学ぶことが可能です。

・できるようになること
最大深度40mまでのNDL範囲内のダイビングで、酸素21~40%のナイトロックスガスが使用可能になります。それにより、ボトムタイムを延長し、窒素の蓄積によるリスクを軽減します。
こちらのコースを修了すると、ADナイトロックスコースと減圧手順コースを受講できます。

・トレーニング時の器材、装備
スポーツダイビングの装備で受講することができます。

ADナイトロックスダイバーコース
・内容
酸素21~100%の高濃度ナイトロックスガスの取り扱いについて学びます。
ADナイトロックスは、次に紹介する減圧手順ダイバーコースと合わせて受講することが多いです。

・できるようになること
酸素21~100%の高濃度ナイトロックスガスを、最大深度40mまでの減圧停止を必要としないダイビングで使用可能になります。
減圧ダイビング※はできませんが、ボトムで空気、浅場で高濃度ナイトロックスを使用することで窒素の排出を加速させることができます。
また、ナイトロックスの充填施設が無いような環境でも、純酸素で減圧症のリスクを軽減しながら潜ることができます。過去に減圧症に罹ったことのある方にもおすすめです。

・トレーニング時の器材、装備
おすすめはダブルシリンダーですが、シングルでも可能です。
(例)
バックマウントのダブルシリンダー+サイドに高濃度ナイトロックスシリンダー
バックマウントのシングルシリンダー+空気の入ったポニーボトル+高濃度ナイトロックスシリンダー
※「減圧」…全てのダイビングにおいて、ダイバーは浮上スピードを守るという方法で減圧を行っています。「減圧ダイビング」は、計画的で段階的な減圧停止を必要とするダイビングのことです。

減圧手順ダイバーコース
・内容
ガス管理や時間管理、トラブルの際のバックアップなどを含めた、計画潜水ができるようにトレーニングを行います。
深場での潜水時間を長くしたい方、減圧理論に興味のある方におすすめです。
ADナイトロックスコースを受講せずに減圧手順コースのみを修了することもできますが、その場合は高濃度ナイトロックスを使うよりも減圧に時間がかかります。

・できるようになること
最大深度45mまで潜ることができ、計画的で段階的な減圧ダイビングができるようになるコースです。

・トレーニング時の器材、装備
必ずダブルシリンダーの装備が必要です。
※コース修了後、ダイビングの内容によってはシングルタンクで減圧ダイビングをすることが可能です。

実際のコースカリキュラムは、担当するTDIインストラクターが地域の特性や考え方によってアレンジするものになりますので、コースの進め方については担当するインストラクターにご相談ください。


Pacific War Wrecks|Masato Aoki  Dive Site|USS EMMONS Okinawa

今現在テクニカルダイビングを楽しんでいるダイバーも、テクニカルダイビングに踏み出した動機は千差万別です。
レクリエーショナルダイビングの先にある景色を見たくはありませんか?一生忘れられない経験をしてみたくはありませんか?
テクニカルダイビングはそれらの夢を叶えます。

例えばこのような方にもオススメ!沈船編
・フォト派
エアが無い!時間が足りない!と焦りながら写真を撮っているあなた。テクニカルダイビングで潜れば、そのような心配は相当軽減されます。
焦る→エア消費が速くなる→焦るの負のループからも解放されるかもしれません。

・メジャー派
構造物の長さを知りたくて、測るためのメジャーを持ち込みたいあなた。レクリエーションではそんな時間が無いからと諦めていませんか。
テクニカルダイビングで潜れば、気になっていたもののサイズを測る時間もあります。

・観察派
もっとじっくり観察したい部分があったのに、駆け足で潜らざるを得なかったあなた。テクニカルダイビングで潜れば、じっくり観察ができる上に、更なる発見があるかもしれません。

・文字派
沈船に残る文字を読みたくて、でも時間が無いからと写真を一枚だけ撮り、エギジット後に見返したらブレていて文字が読めなかったあなた。テクニカルダイビングで潜れば、その場で、そして自分の目で読むことができます。

TDIダイバーコースチャートはこちら


テクニカルダイビングにご興味が湧きましたら、お近くのトレーニングファシリティにぜひお問い合わせください。


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