三保先生に聞いてみました!後編

投稿者:青木 優子

テクニカルダイビングを始められた経緯やケーブダイビングの魅力などをお答え頂いた前編に続き、待望の後編です!
三保先生ご自身のことから、これからの夢まで伺いました。
前編をまだ読んでいない…という方はこちらからどうぞ→三保先生に聞いてみました!前編

●セノーテに移住する、その実現までにどれくらいの期間がかかりましたか?

2004年にフロリダにてケーブ講習を受け、5年間ほどは年に3回ほどフロリダに通っていました。その後、コスメル島にダイビングに来た時にセノーテダイビングと出会い、ものすごい数のセノーテ(ケーブ)がある事を知って通い始めました。フロリダはレンタカーでの移動が毎日100-200kmあるし、平均水深が30m、減圧は純酸素で20分以上、ホテル、レンタカー、ダイビングの費用がとっても高く、予算的にはフロリダ1回分でメキシコへ2回行けることもあって、フロリダはその後年に1回になり、メインがメキシコになって18年間通うようになりました。移住前には時々バハマにも通いましたが、移住後はケーブはメキシコと日本以外潜っていません。

メキシコへ長く通っているうちに、やはりセノーテが好きすぎてメキシコ移住してしまった世界中のダイバーとたくさん知り合いました。ノルウェー、ドイツ、フランス、米国、韓国など国籍は様々で、ケーブガイドを仕事にする人が多かったです。彼らは私がメキシコ移住をすることを強く勧めてくれました。なぜならば、開業医時代の晩年では、3週間行程で年に4〜5回もメキシコに通っていたからです。

でも、長く通って移住しなかった真の理由は、30才時に大学病院で緊急気管切開の助手を務めて針刺し事故をもらい、C型肝炎に罹患していたのです。当時の統計では30年後の60才までに80%が死亡するという統計でした。インターフェロンも2クールやりましたが治癒はしませんでした。どうせ60才までに死亡するなら移住しても仕方ないなと思っていたのです。

ところが、57才時に発売された新薬の内服3週間で、見事に完治してしまったのです!他にも理由はたくさんありましたが、そうなれば一刻も早く移住しようと58才時に移住したのがいきさつです。加齢で体力が落ちてからではハードなケーブダイビングを出来ないので、体力があるうちに移住したかったのです。そして現在移住して6年目の64才になりました。

●メキシコにはいつまで住もうとお考えですか?

お金を払ってセノーテに車を横付けできる場所はいくつもありますが、多くはお金を払わないジャングル内のセノーテを潜っています。ですので、「ジャングルをタンク運びが出来なくなったら」日本に戻るつもりです。介護はもちろんのこと、健康上の理由でガイドラインを満たさなくなったら、事故を起こす前に陸に上がろうと思っています。死ぬときは地上と決めていているのです。もしも私がダイビングで死んでしまったら、ダイビング業界へ影響が大きいと思いますしね。


●ケーブをこれだけ長い期間潜り続けるモチベーションは何ですか?

ユカタン半島にあるセノーテの数は、2,000とも4,000ともいわれています。未だに毎年新しいケーブが見つかって新規オープンしたり、ジャングル内で発見されて話題になったり、要するにどんどん新しいセノーテがどんどん出てくるので、中々飽きないです。フルコースのお料理だって、素敵な夜景だって、美しいお姉さんだって、毎日毎回ずっと同じだったらさすがに飽きますよね?笑 次々と新しいセノーテが出てくるので、だからまだ飽きないのでしょうね。

●次々と新しいセノーテが出てくるので、まだまだ飽きないとのお話でしたが、これからのダイビングでの夢や目標はありますか?

長いケーブがある人類未到のセノーテを発見して、ラインを引くことです。これをエクスプロアといいます。これまで私がラインを引いたのは、すでに入り口になるセノーテが発見されていてラインが引かれており、そこから延長する形でラインを引いたり、バージンセノーテを見つけてラインを引いても短くて、ケーブが長いセノーテを発見したことがないのです。「何時間も潜れる長さのケーブをもつセノーテの発見とエクスプロア」が回答ですね。


●ではラインが既に引いてあるケーブを潜っていたところから、ご自身でエクスプロアをしようと思ったきっかけは何ですか?

ケーブダイビングはワクワクするアドベンチャラスなダイビングです。最初は単にメインラインを潜るので、そのうちにもっと奥まで潜りたい、更には枝道もジャンプして潜ってみたいと言う気持ちになります。そして、色々なセノーテを潜ってみたい、になります。そして、ケーブをたくさん潜っていると、この先はバージンパッセージがあるのではないかと、気がつくようになります。そして、人類未到のバージンケーブに、自分が初めて踏み入れることになり、名前も残すことになるのですから、その感覚が楽しくて仕方がないのです。ましてや、セノーテからセノーテにつなげるようなライン引きは、目的があるので更に楽しいものなのです。

●自分が初めて踏み入るケーブ、想像しただけで私もワクワクします。ケーブダイビング中、どんな時が最高な瞬間ですか?

もちろん、「見たことがない景色を見たり体験をしたとき」でしょうね。それには、エクスプロアも含まれます。ケーブの地形では、ジェット機が格納できる大きさの空洞が地下に広がっているのを見たり、見事な鍾乳石群を見たとき、マストドンという象とマンモスの中間の生き物やジャイアントスロースという3mぐらいのミツユビナマケモノなど現在は絶滅した生物の化石を見たときや、ホモサピエンスの人骨の化石を発見したり。その他に、セノーテからセノーテまで水中水路を開拓したり。ケーブは生物はあまりいませんが、地形や水の色、光も楽しみのひとつですね。


以上、様々な質問に答えて頂きました!
非常に個人的な事を含む質問もありましたので、気が進まない質問にはお答え頂かなくても、とお伝えしていましたが、全ての質問に答えてくださり、また写真もたくさん送って頂きました。
三保先生、本当にありがとうございました!!
記事中に掲載しきれなかった写真がありますので、載せておきます。素敵な写真ばかりです!お楽しみください。







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