●経歴
医師 三保 仁氏
ダイビング歴35年・ダイブ本数3000本。
医大生時代にダイビングと出会い、その後、三保耳鼻咽頭科クリニックを開業する。
1998年にスポーツダイビングインストラクター資格を取得し約300人のダイバーを認定。
2004年にフルケーブダイバー資格を取得しケーブダイビング総本数は1000本。
現在、日本での医師業は引退し、ケーブ探求の為にメキシコに移住。探検家の領域のダイビングを1日に3~5時間行っている。日本人インストラクターに実践的なケーブダイビングのプランや地形の覚え方なども伝えている。
今回は、TDIのケーブダイビング教材の翻訳を担当していただきました。ダイバーとして大切にしていることは、ギャンブルをしない、無理をしない、絶対水中で死なないように潜る事。ケーブダイビングで一番楽しい事は、人類未踏の場所に踏み入れるバージンケーブの探検。今後の目標は70歳まで潜る事。
●インタビュー
加藤:カバーンそしてオーバーヘッド環境マニュアルの翻訳をご担当頂きありがとうございました。翻訳の感想、マニュアルの内容についてはいかがでしたか?
三保:今の時代にあったものを学べてとても勉強になりました。私がケーブを習った15年前のものと比べるときちんとしています。良い点としては、細かすぎずフレキシブルさ(柔軟性)があるということです。指導者がポリシーやローカリティーをもって認定できるということです。翻訳は読んでいる人が理解しやすいように意識しました。マニュアルとしての完成度は高いと思います。
加藤:翻訳が素晴らしいスピードで進み、ケーブダイビングへの情熱をものすごく感じました。このモチベーションはどこから来るのでしょうか?
三保:興味の一つとしてテクニカルダイビングがあり、その中にケーブダイビングがあります。私はとくにケーブ中心で考えてきました。ケーブの世界を知りたいという目的で潜り続けていたら、セノーテでは、終わりのない無限の楽しみの世界があり、次から次へと興味や関心が高くなっていたのです。人類未踏のバージンケーブに自分の名を残す事ができたら光栄です。
加藤:ダイバーの方々に意識してほしい事、例えばこんなダイバーは良くない、こんなダイバーになって欲しいなどあればお願いします。
三保:まずは、基本的なルール、知識、スキルをしっかり学んでほしいです。そして、一番大事なことは、カードコレクターだけで終わらせないことです。
スキルは使わなければ錆びついてしまいます。目的を持って必要だからはじめるようにしてほしいです。
私は先に進むために必要なものが資格でしたから、目的に向かって経験と共に学んでいけたことがより深く吸収できたと思います。
たとえ身に付くまでに長く時間がかかったとしてもあきらめず夢を追いかけてほしいです。
いつか到達できます。そこからの楽しみは無限に続きます。
加藤:探検家の領域のダイビングに経験豊富な三保先生が、改めてカバーンインストラクターコースを受講してみていかがでしたか?
三保:私自身が古いケーブダイバーと理解していましたので、自分の考え、忘れていたことの見直しができとても勉強になりました。
インストラクターによって、様々な指導方法があることについても学べました。
自分の経験があったからこそ改めてより深まりました。
加藤:テクニカルダイビングインストラクター候補生へのアドバイスはありますか?また、自分の習ってきた方法と異なり、なかなか消化できないことに悩んだり困惑したりする人もいるのですが、これについてはどうお考えですか?
三保:教えることの根底のベースは変わることはないはずです。特にメキシコでは、環境に山ほどのバリエーションがあります。インストラクターが様々な考え方を持っています。しかし、根底が変わる事はないので安心して下さい。一歩下がった大きな視野で受講してみてください。
人により教え方が違う、考え方が違うことがありますが、なぜそうなのか?何を目的にしているのか?そこを理解すべきです。それぞれの指導方法の理論になるほど!!があります。
一般の人にはオーソドックスでよいのですが、自分が行うダイビングではよりそこからより良いものを、自分流で考えて実践していくことに楽しさや面白さがあります。
加藤:いろんな方法を見聞きして、教え方が違っていたらバリエーションが広がったと考えていく感じでしょうか。何を重要視している指導者なのかを見ることからも多くの学びがありますね。最後にこれからケーブダイビングを始めたいと思っている皆さんに一言お願いします。
三保:昔は、海外で学ぶ方法しかありませんでした。しかし今はかわってきました。日本のインストラクターが日本で育ち本場で教えることができたら素晴らしいですね。今はその時代がやってきましたよ!ぜひみなさん無限の楽しみが広がるケーブダイビングにチャレンジしてみてください。
投稿者 鐵本菜穂子